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理想と現実

三月も終わり、新年度に突入。 確定申告もなんとか終えることができました。 今月からはまた新しい仕事が始まります。

独立してからの9ヶ月間、会社員でいた頃よりも幾分長く、「自分は今何をするべきか」を考えて過ごしてきたような気がします。 今後の展望、仕事と休息のバランス、独自サービスの構想と開発、などなど。 自分の代わりに考えたり決断してくれる人のいない環境にあるが故に、否応なくそうしたことに頭を回すことになるようです。

己の在り方や為すべきことについて考えるとき、私はいつも「理想」と「現実」という二つの軸に沿って問題を整理します。 やりたいことは何で、現状はどうなっているだろう? 目標に近づくにはどのようなアプローチを取るのが良い? 将来的にトラブルを招きそうな事案を抱えてはいないか? そうやって、理想と現実のギャップをできるだけ正確に把握し、これを埋めるべく計画を立て、然るべき行動を取るわけです。

こんな風に言葉にしてみると随分とご立派な感じがしますが、これは社会人であれば誰もが行っていることのはず。 取立てて語るべきことではありません。 とは言え、いざこれを実践に移そうとすると、これがなかなかに難しいもの。 その原因は何なのかと考えてみるに、「理想」と「現実」の狭間を往くのに必要な「バランス感覚」の妙にあるような気がしています。

理想だけを見ると

独立して仕事を始めるような人は、程度の差こそあれ、誰もが「理想」の働き方、あるいは成果を思い描いているはず。 そうした目標があるからこそ、そこへ至るための決断や行動に明確な方向性が与えられるわけです。

しかしながら、限られた資金や時間の中でこれを実現しようとすれば、その目標へ直接結びつかないことを数限りなくこなしていかなければなりません。 日々の食い扶持を稼ぐための仕事に始まり、基礎技術の習得、人脈作り、各方面への根回し、事務・法務的な手続きなど、理想とは程遠く思える「やらなければならないこと」は山ほどあり、これらを着実に片付けていかないことには、「理想」へ歩み始めるために足を上げることすらできなくなってしまうでしょう。 「夢」を語り「憧れ」を抱くのは結構なことですが、それを実現しようと本気で考えているのであれば、しっかりと足元を見て、行く手を遮る障害物をひとつひとつ片付けていくしかないのです。

結局のところ、「裏技」を求める人々の心理の裏には、苦労せずに成功したい、というムシのよい考えがあるのではないでしょうか。 「プログラムを書けるようになりたいが、地道で退屈な勉強はしたくない。」 「画期的で高品質なサービスを作りたいが、研究開発や人材教育などのコストはかけたくない。」 そういった願望を持つ人々にとって、この手の「裏技」が非常に魅力的に思えることは想像に難くありません。 しかし、そうした「裏技」の99.9%は「スカ」であることは心に留めておくべきでしょう。

現実だけを見ると

その一方で、日々目先の仕事で手一杯になってしまうこともしばしば。 「現実」に流されている状態といえるかも知れません。 確かに、日々の仕事をこなすだけでも、相当なエネルギーが必要なもの。 締め切りに追われ、とにかく目の前の案件を仕上げることが最優先という状況も少なからずあることでしょう。 けれども、そうした状況でも、自分の仕事に対して批判的な視点を持ち続けることが大切です。

「あのツールを使う知識・技術が身についていれば、もっと短い時間で、より質の高いものを作れたのではないか」と自問してみます。 「無理を言うな。そんなヒマがどこにある?」 その通りなのかもしれません。 でも、状況を打開するには、どこかで「無理な投資」を行う必要があります。 そもそも、本当に無理なことなのでしょうか。 休息や余暇と称してダラダラ過ごしている時間の半分も割いていれば、今頃チュートリアルくらいは終わっているのでは?

そんなふうに考えていくと、現状を「なんとかする」ことに体力や集中力のすべてを費やし、「どう在りたいか」「どう在るべきか」という問題と向き合わずにいることもまた、怠惰の一形態であることに気が付くはず。 自分の経験からいっても、「忙しさ」に逃げるというのは意外に「ラク」なものなんですよね。

まだ届かない

なんだか偉そうなことを書いていますが、実のところは理想と現実の板挟みになっている未熟者の泣き言だったりします。 まだまだ目標とする生き方には遠く及ばぬ状況ですが、諦め悪く、しぶとく足掻いていくつもりですので、今後もよろしくお願い致します。

成田 (板挟みなう。)
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